フィラリア~前編~
こんにちは。元住吉からき動物病院です。今回は予防のシーズンが始まっているフィラリア症について少し書かせていただきます。
皆さんは愛犬にフィラリア予防を行っていますか?5~12月に毎月1回の投与で予防できるお薬がございますが、蚊がいなくなるのは11月くらいなのになぜ12月まで投与しなければならないのだろう、そもそもフィラリアってなに?と思ったことはございませんか?フィラリア症は、犬糸状虫症ともいわれ、蚊の媒介によってフィラリア(犬糸状虫)が犬から犬へと感染して起こる病気です。感染して発症してしまうと、心臓や肺、肝臓、腎臓などにダメージを受け、最悪の場合死に至る、犬にとって非常に重大な病気となります。しかしながら、フィラリアは予防さえすればこのような症状は必ず抑えられます。フィラリアはどのように犬に感染していき、どのような症状がでてくるのか、フィラリアの知識を深めて、適切な予防をできるようにしましょう。まずは前編でフィラリアの生態について、さらに後編ではフィラリアの予防についてお話します。
●フィラリアの特徴
フィラリア(犬糸状虫)は乳白色をしたそうめんのような形の細長い虫で、オスは体長12~18センチ、メスは体長25~30センチほどです。蚊の体内で成長したのち、犬の体内で成虫になり、最終的にイヌの心臓内でフィラリアの成虫は5~6年ほど生きます。
●フィラリアの生活環と感染経路
①感染犬の中でフィラリアがミクロフィラリアと呼ばれる子虫(第1期幼虫:L1)を産生
②感染犬の血液中をまわり、蚊が犬をさしたとき血と一緒に吸引されるのを待つ
③蚊の体内で感染子虫(L2~3)に成長(2~3週間ほど)
④蚊が未感染犬をさした際に犬の体内に侵入(感染)
⑤犬の皮下組織や筋肉などの内部で2~3センチほどの体長に発育(L3~L5)(2~3ヵ月)
⑥血管に侵入、心臓の右心室や肺動脈へ移動、成熟(3~4ヵ月)
以下、①~⑥を繰り返す
●症状
フィラリア症は寄生している成虫の数や感染期間、虫体の寄生場所などに左右されますが、寄生された数が少なければ、無症状のこともあります。ただし、多くのフィラリアに寄生された場合は、「慢性犬フィラリア症」や「急性犬フィラリア症」としてさまざまな症状を引き起こします。
[慢性犬フィラリア症の場合]
(1) 感染初期(感染から6ヵ月間):ほとんど無症状
(2) 初期症状:動いたときにのみ呼吸困難を起こすため動きたがらない、疲労、
せき、血を吐く、息切れ、体重減少、皮膚のかゆみや脱毛などの皮膚症状 など
(3) 症状の進行:走るなど少し激しい運動をすると息切れをして呼吸が荒くなる、心臓肥大 など
(4) 重度の症状:おなかに水がたまる(腹水)、四肢にむくみが生じる、水を異常にほしがる など
[急性犬フィラリア症の場合]
急性犬フィラリア症は、大静脈症候群ともいわれ、慢性犬フィラリア症の経過中や、それまで
はっきりした症状が出ていない犬などにも起こることがあり、かなり重度の症状があらわれます。
・突然のはげしい呼吸困難、運動の低下
・茶色あるいは濃い赤色の尿をする
・黄疸がみられる
・頻脈と不整脈、頚静脈の拍動
これらの症状があらわれた場合、適切な処置が行われないと、ほとんどが数日から1週間以内に死亡します。
●治療
[慢性犬フィラリア症の場合] [急性犬フィラリア症の場合]
・駆虫薬による成虫の駆虫 外科的な摘出→投薬によるミクロフィラリアの駆除
・外科的な摘出 慢性犬フィラリア症に準じた対症療法 ・対症療法など
いかがでしたでしょうか?フィラリアは心臓に寄生し最悪の場合死に至る、犬にとって重大な病気であることをご理解いただけましたでしょうか。このフィラリア症は、定期的な予防をすることで必ず防ぐことができます。獣医師の指示に従った投薬で、適切な予防を行いましょう。次回は、フィラリアの予防について詳しくお話したいと思います。フィラリアや予防薬について何かわからないことや不安なことがございましたら、元住吉からき動物病院にお気軽にご相談ください。
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