犬と猫の食性

皆さんこんにちは、元住吉からき動物病院、看護師の本間です。7月も中盤となり、セミも鳴き始めてきましたが、適切に冷房を使用したり水分補給をこまめに行って、熱中症対策をしましょう!

さて、皆さんはワンちゃんネコちゃんの食生活について正しい認識をお持ちでしょうか?野生の犬や猫は自ら動物を狩って食べますが、皆さんの飼っている犬や猫は、皆さんから与えられているごはんだけで生活しています。愛情をこめた手作り食などを考えている方も多いかと思われますが、手作り食を作るためには、第一に犬と猫の食性についてきちんと理解していなければ、その子に十分な栄養のあるごはんを与えることは難しいのです。そこで今回は、人間と犬と猫の食性の違いについてお話します。食性とは動物の食物に関する性質のことで、どんな種類の食物を食べ、どのようにして食べるのか、きちんと理解してワンちゃんネコちゃんとの正しい食生活をおくりましょう。また、手作り食を考えている方や、あまりいらっしゃらないとは思いますが人間のごはんのみを与えている方は、一度目を通していただきたいです。

 

●必要な栄養素

 犬や猫は、人間と同じように五大栄養素といわれる炭水化物、たん白質、脂肪、ミネラル、ビタミンを食餌から得なければなりません。しかしながら、人間、犬、猫それぞれ必要な栄養素の割合は大きく異なります。犬・猫ともに祖先となるのはミアキスと言われており、ミアキスから分岐してイヌ科とネコ科に分類されました。犬は、オオカミやコヨーテと同じイヌ科であるため元々肉食でしたが、人間と生活を共に過ごしてきた結果、イエイヌとして雑食性になったといわれています。そのため、人間よりもたん白質の必要量は多いものの、必要な栄養素は人間とほとんど似ています。一方、猫は人間と生活を共にしていながらも肉食性を保っているため、たん白質の必要量は人間や犬と比べて多くなります。また猫はタウリンを体内で合成できないのが特徴です。タウリンは動物の内臓や魚介類に多く含まれているので、肉や魚を食べないとタウリンを補給できません。そのため、猫は雑食性になることができないのです。タウリンが不足すると、拡張型心筋症を引き起こす原因にもなりますので、キャットフードには必ずタウリンが含まれています。

犬、猫、人間の平均的な食事に含まれる三大栄養素

 


 

 ★なぜ牛乳を与えてはいけないのか?★

牛乳の成分と犬猫の乳の成分はそれぞれ異なります。前述のように、犬猫は人間と異なり蛋白質や脂質を多く必要するため、牛乳に比べて犬猫の乳には蛋白質や脂質が多く含まれています。したがって、子犬や子猫に牛乳を飲ませると、必要なエネルギーや蛋白質が不足して、十分に成長できない場合があるので、必ず子犬用・子猫用のミルクを与えましょう。

また、牛乳の成分には“乳糖”という成分が含まれていて、乳糖を消化するにはラクターゼという酵素が必要です。犬や猫にはこのラクターゼという酵素が生まれたときは多いものの、大人になるにつれ少なくなっていきます。そのため、成犬や成猫に牛乳を飲ませてしまうと乳糖が消化されず、下痢を起こしたりしてしまいます。

牛乳、犬の乳、猫の乳の成分量

 


 

●食餌の回数と与え方

人間は1日3回の食事が基本とされていますが、犬や猫は異なります。これは、犬や猫の野生下での環境が関係します。

犬の場合、オオカミやコヨーテと近縁のため、身近に手に入れることができる物なら何でも狩りをして食べる捕食動物です。そのため、飼育下では1日の食餌量を1回ですべて食べてしまうことも可能です。しかし、1日1回の食餌は好ましくありません。慌てて飲み込んでのどに詰まらせたり、肥満にもなりやすいとされています。最低でも1日2回の食餌を与えましょう。肥満の子やガツガツ食べてしまう子は、空腹のために一気に食べてしまうので、1日分の量を3~4回に回数を増やして、空腹感を減らす工夫をしてもよいでしょう。また、子犬の場合は、1回に食べられる量が少ないので、1日4回程度に分けて与えましょう。

一方猫の場合、野生下では捕食衝動が非常に強いため、獲物を殺すために食餌を中断し、複数の獲物を手に入れることができます。小型のげっ歯類や鳥類、爬虫類なども食べることから、昼夜を問わずに10~20回少量ずつ食べるように進化してきました。飼育下では1日分を2~3回に分けて与えるか、腐敗の危険性が低いドライフードを置いていつでも食べられるようにするとよいでしょう。ただし、ドライフードは常に新鮮なものを用い、清潔を保ちましょう。また、ウェットフードや手作り食は腐りやすいため、与えたら20分程度で片づけることをおすすめします。

 

人間と違い、犬や猫には進化にともないそれぞれ違った食性をもち、必要な栄養素や食餌回数が異なることをご理解いただけましたでしょうか?手作り食を考えている方は、このようなことを理解した上で、愛情のこもったごはんを作ってあげましょう。ごはんに関して分からないこと等がございましたら、元住吉からき動物病院にお気軽にご相談ください。

 

参考文献:環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~」

http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/petfood_guide/pdf/full.pdf

 

 

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